金の比重19.32は本物の証?水で純度を見分ける方法と限界
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金の比重は19.32です。台所のはかりと水があれば、家庭でも純度の見当はつきます。
ただし、この方法には抜け道があります。密度19.25のタングステンです。
扱うのは次の4点です。
- 金と主要な金属の比重を比べる
- 家庭のはかりで比重を出す手順
- カラット別の比重の目安
- タングステン偽装だけは見抜けない理由
順番に見ていきます。
金の比重は19.32 ── 主要な金属と比べる
比重とは、水を1としたときの密度の比率です。金の密度は19.32 g/cm³なので、同じ体積の水よりおよそ19倍重いことになります。
身近な金属と比べると、金の重さが際立ちます。
| 金属 | 密度(g/cm³) |
|---|---|
| プラチナ(白金) | 21.41 |
| 金 | 19.32 |
| タングステン | 19.25 |
| 鉛 | 11.34 |
| 銀 | 10.49 |
| 銅 | 8.95 |
| ステンレス(SUS304) | 7.93 |
| 鉄 | 7.87 |
| 亜鉛 | 7.14 |
| アルミニウム | 2.70 |
ステンレスとアルミニウム以外は、東京税関の分析所報が挙げる文献値です。各値の出どころは記事末尾にまとめました。
金は鉄の約2.5倍、アルミニウムの約7倍の重さです。小さいのに手にずしりとくる感覚は、この差から生まれています。
そして表のなかに1つだけ、金と見分けのつかない金属があります。タングステンです。
プラチナが金より重いのは見落とされがちです。同じ形の指輪なら、プラチナのほうがずしりときます。
家庭のはかりで比重を出す手順
必要なものは3つです。0.01g単位ではかれるはかり、水を入れた容器、それと細い糸です。
- 金製品の重さをはかる(例:10.00g)
- 水を入れた容器をはかりに載せ、表示を0にする
- 糸で吊るした金製品を、水面より下まで沈める
- このときの表示を読む(例:0.52g)
- 比重 = 1の重さ ÷ 4の表示 = 10.00 ÷ 0.52 ≒ 19.2
手順4の0.52gが、押しのけた水の重さです。浮力は押しのけた水の重さと等しいというのがアルキメデスの原理になります。重さを体積で割れば密度になる、という定義がそのまま式になっています。
出た値が19.32に近ければ、高純度の金である可能性が高くなります。
誤差を出さないための注意点
数値が動く原因は、たいてい次の4つです。
- 表面についた気泡。沈める前に一度水から出し入れして落とします
- 糸が太いと糸自体の浮力が乗ります。できるだけ細いものを使います
- 容器の底や側面に触れると、そのぶん重さが逃げます
- 石つき・空洞・別素材の芯があると、そもそも単一金属の値になりません
チェーンや石つきの指輪でもはかれますか?
石や留め具は金と密度が違うので、混ざると全体の値が引っ張られます。比重法が使えるのは、地金やコインのような単体の金属だけです。
カラット別の比重の目安
金製品には純度が刻印されています。国際的にはカラット(K)表示が使われ、K24が純金です。刻印は千分率の数字で打たれることもあります。
| 表記(刻印) | 金の純度 | 比重の目安 | 主な用途 |
|---|---|---|---|
| K24(999) | 99.9%以上 | 19.32 | 純金積立・地金・金貨 |
| K18(750) | 75.0% | 約15.0〜16.0 | 高級ジュエリー |
| K14(585) | 58.5% | 約13.0〜14.3 | ジュエリー全般 |
| K10(416) | 約41.6% | 約11.5〜13.0 | コストを抑えたアクセサリー |
比重の欄は計算上の目安で、製品の保証値ではありません。割り金(金に混ぜる銀や銅などの金属)を銀だけにした場合を上限、銅だけにした場合を下限として算出した幅です。
割り金に銀を多く使えば比重は上がり、銅を多く使えば下がります。銀の密度が10.49、銅が8.95だからです。
パラジウムを割り金に使うホワイトゴールドは、この幅を上回ることがあります。比重だけでカラットを決めつけるのは無理があり、刻印と合わせて見るのが現実的です。
資産として金を持つなら、比重に幅の出ないK24が基本になります。K18以下は金以外の金属が25%以上を占めるため、金価格との連動が弱まります。
比重法の弱点 ── タングステン偽装は見抜けない
ここが比重法の限界です。
タングステンの密度は19.25 g/cm³で、金の19.32 g/cm³との差は0.4%ほどしかありません。
差がどれだけ小さいかは、東京税関の実測値がよく示しています。輸入された金地金30検体の平均が19.24 g/cm³、タングステン板が19.28 g/cm³。実測では順番が入れ替わっています。同報告は、この精度では密度から金かタングステンかを判別するのは困難だと結論づけています。
つまり内部をタングステンで満たし、外側を金で覆った偽造品は、比重法では判別できません。
2012年9月、ニューヨークのダイヤモンド街で偽造された10トロイオンスの金地金が見つかりました。手口は、本物の地金をくり抜き、中身の約75%をタングステンに置き換えるというものです。刻印もシリアル番号も本物のまま。外から見ても、重さをはかっても気づけません。
| 判定対象 | 比重法の有効性 |
|---|---|
| 銅・真鍮など密度の低い金属を使った偽造品 | ○ 全体が軽くなるので気づける |
| 銅や真鍮に金メッキした製品 | ○ 同上 |
| 純度の低い合金(K18以下) | △ 目安程度 |
| タングステン芯など密度を金に寄せた偽造品 | ✕ 判別不可 |
金メッキ品が判別できるのは、下地の金属が軽いからです。危ないのはメッキかどうかではなく、全体の密度が金に寄せてあるかどうかになります。
ここまで密度が近い金属は、ほかにありません。タングステンが選ばれるのは偶然ではなく、狙い撃ちです。
判定を詰めるなら、検査を重ねる
比重法はあくまで一次チェックです。そして次の検査も、単独で万能というわけではありません。
- 蛍光X線分析(XRF):非破壊で組成をはかる。ただし見ているのは表面付近です
- X線透過検査・超音波検査:内部の密度差や空洞まで捉えます
- 試金石法:表面を少し削り、酸への反応で純度を見る古典的な手法です
東京税関の分析所報によると、XRFで金の情報が飽和する厚さは約10 μm(マイクロメートル。1 mmの1000分の1)でした。タングステンを芯にした試料では、金の層が約4 μmを超えるとタングステンの有無を判別できなくなると報告されています。
試金石法も表面付近を見る手法なので、単独では芯の入れ替えを否定できません。XRFで表面の組成を確かめ、そのうえでX線透過や超音波を重ねる。これが現実的な進め方になります。
偽造品をつかまない、いちばん確実な方法
科学的な判定に限界がある以上、対策は入口に置くのが合理的です。信頼できる業者から買い、出どころのわかる金を持つことに尽きます。
- 純金積立(楽天証券・田中貴金属):出どころの不明な現物を個人間で買う場合より、偽造リスクを抑えられます
- 国内認定業者からの地金購入:日本金地金流通協会(JGMA)への加盟は、購入先を選ぶときの判断材料になります
あやしいルートで安い金を買うより、正規のルートで積み立てるほうが安全です。楽天証券の純金積立なら、月々1,000円から始められます。
すでに手元にある金製品を売るなら
ここまでは、これから金を買う前提の話でした。すでに手元に金製品がある場合は、判断の軸が変わります。親から譲り受けた指輪・古いコイン・出どころのわからない地金などです。
家庭で比重をはかっても、タングステン偽装までは見抜けません。設備を持つ買取業者に一度見てもらうのが現実的なリスク管理になります。
貴金属買取を手がける「福ちゃん」は、貴金属だけでなく骨董品(こっとうひん)・古銭・記念メダルまで扱っています。そのため、地金としての価値に加えて製品としての価値も見てもらえます。査定料とキャンセル料は無料で、出張・宅配・店頭から選べます。
判定できない金製品を抱えたままにするより、まず無料査定でいまいくらの値がつくかを知るほうが早いです。真贋の証明が必要なら、鑑定書を出せる先を業者に相談してください。
よくある質問
金に比重が近い金属は?
タングステンです。東京税関の分析所報が挙げる文献値では、金が19.32 g/cm³、タングステンが19.25 g/cm³。差は0.4%ほどしかありません。同じ報告の実測値では、輸入された金地金30検体の平均が19.24 g/cm³。タングステン板は19.28 g/cm³で、順番が逆転しています。金メッキのタングステンが偽造に使われる理由は、この近さです。
金とプラチナはどちらが重いですか?
プラチナです。プラチナの密度は21.41 g/cm³で、金の19.32 g/cm³より約11%大きい値になります。同じ形の指輪なら、プラチナのほうが重くなります。
比重がいちばん重い金属は?
オスミウムです。田中貴金属の公開データでは22.57 g/cm³、英国王立化学会(RSC)では22.59 g/cm³です。金のおよそ1.17倍にあたります。次点はイリジウムですが、こちらは資料による幅が大きく22.42〜22.56 g/cm³と割れています。
18金(K18)の比重はどれくらいですか?
計算上は約15.0〜16.0が目安になります。18金は金75%に銀や銅を混ぜた合金なので、割り金の比率で比重が動きます。銀を多く使えば16.0寄り、銅を多く使えば15.0寄りです。パラジウムを割り金に使うホワイトゴールドは、この幅を上回ることがあります。比重だけでカラットを決めつけず、刻印と合わせて判断してください。
まとめ
- 金の比重は19.32。鉄の約2.5倍、アルミニウムの約7倍です
- 家庭のはかりで比重を出せば、密度の低い金属を使った偽造品ははじけます
- タングステンは19.25で差は0.4%。比重法では見抜けません
- XRFも見ているのは表面。芯まで見るならX線透過や超音波を重ねます
出どころのわからない金製品が手元にあるなら、まず0.01g単位のはかりで比重をはかってください。19.3前後から大きく外れれば、その場で答えが出ます。外れなければ、次は買取業者の無料査定です。
一次ソース
- 東京税関 蛍光X線分析法等を用いた金製品の判別について(関税中央分析所報 第54号)
- ステンレス協会 ステンレスの物理的性質
- Royal Society of Chemistry Periodic Table
- 田中貴金属 貴金属元素データ
- 造幣局 貴金属製品の品位証明
- 楽天証券 1,000円からの「純金積立」
- Coin World 2012年の改造地金の報道
いずれも2026-08-27 閲覧。