gold (更新: 2026/04/14)

金を溶かすには?王水・シアン・ヨードチンキによる溶解方法

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金は本当に「溶けない金属」?金を溶かすには?

金(ゴールド)は、酸やアルカリにもほとんど反応せず、空気中でも錆びないという非常に安定した金属です。そのため、「金は溶けない」「金は腐食しない」というイメージを持つ人も多いでしょう。

実は、条件次第では、金も溶けるのです
この記事では、科学的な視点から金が溶ける4つの方法を紹介し、金属としての金の“弱点”に迫ります

**「王水」、「シアン化物」、「ヨードチンキ」**という材料を使うと金を溶かすことができます。

記事には化学式が多数出てきますのが、それほど重要ではありませんので、難しい場合は読み飛ばしてください。

また、金の腐食、錆びについても解説しています。

王水による金の溶解

王水とは?

「王水(おうすい)」は、濃硝酸と濃塩酸を3:1の体積比で混合した液体です。化学的に非常に強力な酸化力を持つ混合物で、名前の通り**“金属の王である金をも溶かす”**ことから「王水」と名付けられました。

金が王水で溶ける仕組み

王水:硝酸と塩酸が反応し、塩化ニトロシル(NOCl)と塩素(Cl₂)が生成(参考:wikipedia):

HNO₃ + 3 HCl → NOCl + Cl₂ + 2 H₂O

生成されたNOClとCl₂が金を酸化し、テトラクロリド金(III)酸(H[AuCl₄])を形成(参考:J-Stage):

Au + NOCl + Cl₂ + HCl → H[AuCl₄] + NO

この反応で、金(Au)はAu³⁺に酸化され、塩化物イオンと錯体を形成して溶け出します

この反応によって、通常の酸ではびくともしない金が液体中に取り込まれ、溶けていきます。

金の精錬、リサイクル、材料研究といった、溶解処理が必要な場面で使用されます。

シアン化合物による溶解

シアン化物とは?

**シアン化ナトリウム(NaCN)やシアン化カリウム(KCN)**といった化合物は、古くから金鉱石から金を抽出するために使われてきました。

金がシアン化物で溶ける仕組み

  • 酸素と共にシアン化物と反応
  • [Au(CN)₂]⁻という錯体イオンを形成し、金が溶液中へ(参考:Wikipedia

4 Au + 8 NaCN + O₂ + 2 H₂O → 4 Na[Au(CN)₂] + 4 NaOH

シアン化物は猛毒で、わずかな量でも人を死に至らしめるため、一般に扱うことはできません。**最大の注意が必要です。**そのため、現在では代替技術や再利用技術の開発が進んでいます。

金鉱石からの金回収(鉱業)や金めっき技術(電解めっき浴)の用途で使われることがあります。

ヨードチンキでも金は溶ける?

ヨードチンキとは?

  • ヨウ素(I₂)+ヨウ化カリウム(KI)+エタノールで構成される消毒薬
  • 日常でもよく使われるが、実は金を溶かす力を持つ

金がヨードチンキで溶解する仕組み

  • KIとI₂が反応して**三ヨウ化物イオン(I₃⁻)**を形成
  • このI₃⁻が金を酸化し、[AuI₂]⁻や[AuI₄]⁻などの錯体を作って溶解させる

2 Au + I₃⁻ + I⁻ → 2 [AuI₂]⁻

2 Au + 3 I₃⁻ → 2 [AuI₄]⁻ + I⁻

この反応では、金がまず一価の錯体 [AuI₂]⁻ を形成し、さらにヨウ素イオン(I₃⁻)と反応することで三価の錯体 [AuI₄]⁻ へと変化します(参考)。

ただし、ヨードチンキで金を溶かすには比較的多量の溶液が必要です。たとえば、金箔1枚(約0.03g)を溶かすには約2.5mL以上のヨードチンキが必要です。

つまり大量の金を処理する用途には適していません。

金箔を溶かすような教育的な化学実験、微量な金コロイドのナノ粒子を生成する研究的な用途で使われることがあります。

加熱すれば金は物理的に“溶ける”

金の融点:1064.18°C

純金は、1064.18°Cで固体から液体になります。これは「融解」と呼ばれる物理的変化です。

  • 銀(961°C)や銅(1085°C)と同程度で、比較的加工しやすい金属
  • 鋳造・金箔加工・溶接などの工程で活用される

金の沸点:約2856°C

さらに加熱すると蒸発しますが、一般的な使用環境ではここまで加熱されることはまずありません。

合金化の影響

18Kや14Kなどでは、割り金(銀・銅など)によって融点が変化します。


まとめ:金は条件次第で“溶かす”ことができる

金は非常に安定した金属ですが、王水・シアン化物・ヨードチンキといった特定の物質を使用することで溶解します。また、物理的には1064°Cを超えれば液体になる金属でもあります。

金属の中でも特別な存在である金。だからこそ、こうした性質を知っておくと、金の理解がより深まることでしょう。

**「金は不変で、溶けない」と思われがちですが、科学的には溶かすことができる材料です。“意外な弱点”**もあるんですね!


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